2011年7月19日火曜日

家庭用蓄電池、相次ぎ発売、停電対策・節電の切り札――太陽光・燃料電池併用も

 家庭用の大型蓄電池で次々と新製品が登場している。停電時に非常用電源として活用したり夜間電力をため昼間に使用することで電力需要のピークをずらしたりできる。参入企業が増えて価格も低下し、太陽光発電や燃料電池と組み合わせた製品も出ている。電力不足の長期化が懸念されるなか、停電対策や節電向けに普及を狙う。
 ヤマダ電機で同社が太陽光発電システム施工大手のウエストホールディングスと共同で4月に発売した家庭用蓄電池「E STOCKER(イー・ストッカー)」がヒット商品となっている。環境ベンチャーのエジソンパワー(千葉県木更津市)の製品で、蓄電容量は1~2・5キロワット時。一般家庭の1日の電力消費の1~2割相当をためられる。価格は70万円台から190万円程度までだが、発売から3カ月の累計出荷台数は約400台となった。
 電力需要が小さく電気料金の安い夜間に蓄電し、電力需要が大きくなる昼間に放電すれば電気料金を節約でき、地域の節電にも貢献する。
 ヤマダ電機では太陽光発電システムと組み合わせて蓄電池を購入する顧客も多いという。現在、家庭の太陽光発電システムが生み出した余剰電力は全量が電力会社の送電線に供給されている。だが、電力不足で予期せぬ停電への懸念が高まるなか、「余分な電気を蓄電池にため、非常時に備えようとする家庭が増えている」(ウエストホールディングスの池田直人常務)。
 従来容量が1キロワット時を超えるような大型蓄電池は、大半がデータセンターのバックアップ電源などの業務用の製品。蓄電容量が1キロワット時の機種で価格が100万円を超えるのが一般的で、家庭で購入するにはハードルが高かった。だが、震災後、電力不足への不安が広がるなか割安な新製品の発売が相次いでいる。
 環境ベンチャーのスマートエナジー(東京・港)が5月に発売した「VEUS(ベウス)」は蓄電容量が4キロワット時の機種の場合で価格は約94万円。1キロワット時当たりの単価は20万円台で大型蓄電池としては業界最安値だ。ハイブリッド車(HV)などの車載用蓄電池をベースとすることで開発コストを抑えた。停電時の非常用電源としての用途に加え、「平常時には車載用電池としても活用できる点もアピールしている」(大串卓矢社長)。
 大和ハウス工業などが出資する業務用大型蓄電池大手のエリーパワー(東京・品川)も今秋、容量が2キロワット時で価格が150万~200万円程度の家庭用蓄電池を発売する計画。キャスター付きで移動も容易だ。あらかじめパソコンなどに接続しておけば、突発的な停電時などにも自動的に蓄電池からの電力供給に切り替える機能も搭載するという。
 伊藤忠エネクスが今秋発売する予定の家庭用蓄電システムは、米社製の車載用蓄電池をベースに開発した。蓄電容量が6キロワット時で価格は100万円程度。同社の土井章専務執行役員は「消費者に(都市ガスを燃料とする)家庭用燃料電池『エネファーム』と併用する方法を提案する」と話す。
 独自の充放電制御システムも搭載。蓄電の状況に応じて燃料電池の稼働を調節し、最もエネルギー効率の高い水準でそれぞれの機器を運用できる。
 同社は現在系列の給油所などで燃料電池を販売している。これまでも燃料電池について省エネ効果や外部電力に頼らなくても済む長所を強調してきたが、蓄電池と組み合わせた場合のメリットをアピールする。蓄電池と燃料電池を組み合わせれば、家庭の電力消費の7~8割は自宅でまかなえるようになるという。
本格的普及には補助金制度カギ
 業務用に比べてかなり値段の下がった家庭用蓄電池だが、まだ手軽に買える価格とは言い難い。制御システムなど周辺機器を除く蓄電池の製造コストは蓄電容量1キロワット時当たり20万~30万円程度とされる。本格的に普及させるには同4万円程度にする必要があるというのが業界の共通認識だ。
 今のところ家庭用蓄電池はベンチャー企業の製品が中心だが、三洋電機は8月にも容量1・6~3・2キロワット時の新製品を発売する予定。東芝も今年度中に1~5キロワット時の蓄電池を商品化する計画だ。電機各社が相次いで参入することで、部品の量産効果などが生まれて一気にコストダウンが進む可能性がある。
 製造コスト削減と並んで普及のカギを握るとみられるのが政策支援。現在、太陽光発電には導入コストの1割弱を、家庭用燃料電池には従来型給湯器との差額の2分の1と工事費用の2分の1を助成する制度がある。一方、家庭用蓄電池に対する政府助成は今のところない。
 ただ、さいたま市など一部の自治体が蓄電池を対象とした補助金制度の導入を計画しており、政府内でも蓄電池普及策を模索する動きもある。実現すれば、家計への負担も軽くなりそうだ。

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