花王が2年ぶりに看板ブランド「アタックNeo(ネオ)」の新シリーズを投入する。従来の洗浄力とすすぎ1回という基本コンセプトに加え、「洗濯のたびニオイ菌を抑える」という新たな機能を盛り込んだ。コンパクトな濃縮液体洗剤で市場を切り開いてきた同社が「圧倒的なシェアを獲得したい」と力を入れる戦略商品だ。
7月13日午前。主力の川崎工場(川崎市)のゲートを「アタックNeo抗菌EXパワー」を満載した大型トラックが次々と通り抜ける。19日の全国発売に向けスーパーやドラッグ店など約6万店への出荷が始まった。
じゅわわわぁ……。洗いたての靴下に抗菌EXを垂らすと、きれいになったはずの繊維の間から小さな泡が湧き出してくる。洗剤のプロたちが雑巾臭と呼ぶ臭いのもとになる菌が洗剤成分と反応している様子だ。
同社のアンケート調査によると、洗剤を使う消費者にある異変が起こっている。以前は「白さ」が洗浄力の象徴だったが、その比率が徐々に低下。代わって最近は「衣類に残る嫌な臭い」が目立ちはじめた。消費者のチェックが目だけでなく鼻にも広がっているようだ。
背景には生活習慣の変化がある。洗濯かごを使わず洗濯槽に直接衣類を放る「ため込み派」が増加。さらに夜中に部屋で洗濯物を乾かす室内干しが臭いに敏感な層を育てているという。
新製品の開発チームが正式に動き出したのは2009年9月だが、「謎の衣類の臭い」の研究に取り組み始めたのは1998年まで遡る。新製品は生まれる前からロングラン商品だった。
2008年6月には社内の関連部門から横断的に研究者らを集めた「ニオイ会議」なる組織が発足。長く業界で謎だった生乾きの雑巾のような臭いの原因は何か――。犯人の特定に向けて社内が一致団結した。
職場内だけでなく、洗濯の実演観察のため訪れた一般家庭でも「出来たてほやほやの臭いがほしい」と頼み込んだ。研究精度を高めるために「臭いを現行犯で捕らえ研究所にすぐさま連行する必要があった」(花王ファブリック&ホームケア研究センター)。
地道な研究の積み重ねで雑巾臭の原因は、ごく微量でも強い臭いを感じさせる脂肪酸の一種「4M3H」と判明。11年3月にはその発生源を「モラクセラ菌」と特定して学会で発表した。見つけてみれば「日常生活の中でごく普通に存在する菌」(同)。ただ太陽光や乾燥に強く、これまでの洗濯では生き残り、臭いのもとが繊維の間に潜伏しやすいことも明らかになった。
E―3。抗菌EXの開発コード名だ。発売2年で7000万本売った「アタックNeo」の系譜を継ぎ、コンパクト市場の代名詞ともなったNeoの洗剤シリーズ第3弾という意味を持つ。
研究陣は、抗菌EXは単なるリニューアル商品ではないという。ニオイ菌対策と漂白成分の配合という2つの先端技術を小さなボトルの中で両立させた「全く新しい商品」と胸を張る。
それではなぜ既存のブランド「アタック」の名を冠したのか。洗濯用洗剤は花王の屋台骨。「研究開発の粋を集めた最も新しい洗浄技術を投入した商品を『アタック』と呼ぶ」という不文律があるからだ。
1987年に粉末、2009年に液体を売り出しコンパクト市場の先駆者を自負する花王。濃縮液体洗剤は衣料用洗剤市場の2割まで拡大したが、ライオンやプロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)など競合の追い上げも激しい。ブランド名で「次代の花王の顔を担う」と宣言した抗菌EX。商品の到着を待つ店頭の営業現場も「期待の大きさに応える販促を展開する」と意気込んでいる。
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