2011年7月19日火曜日

空間用害虫忌避剤、4~6月、50%増、節電意識が追い風に

都市住民の需要つかむ
 夏本番を迎え、空間用の害虫忌避剤の市場が拡大を続けている。ハエや蚊などを室内で目にしたくないという消費者が増えているためだ。市場をけん引しているのはベランダなどにつり下げて虫の侵入を防ぐ商品。4~6月の販売が前年同期比約50%増となるところもあり、各社の予想を大幅に上回る水準で推移している。
 調査会社の富士経済(東京・中央)によると、空間用の害虫忌避剤の2010年の市場規模は前年比14・6%増の118億円となったもよう。ハエ・蚊用殺虫剤市場の3割程度の規模だが、05年と比較するとほぼ5倍の水準に膨らんでいる。
 今春以降の市場拡大には、「節電による需要が確実に上乗せされている」(アース製薬)。エアコンを使わず窓を開けておく家庭が増えていることが大幅な販売増につながっているという。
 市場が立ち上がったのは約9年前。消臭・芳香効果も兼ね備えた室内用の置き型虫よけ剤が開発されたことが契機となった。子供やペットのいる家庭など室内で殺虫剤を使いたくないという消費者のニーズを受け、各社がこの分野に参入。殺虫成分を使わず、虫よけ効果があるとされる天然ハーブなどを配合した商品を相次ぎ発売し売り上げを伸ばした。
 ここ数年、市場拡大の原動力となっているのは、殺虫剤大手各社が販売するつり下げ式の虫よけ剤。先がけとなったのは大日本除虫菊(大阪市)が07年に発売した「虫コナーズ プレートタイプ」だ。開発のきっかけは「火も電気も使わず常温で揮発する薬剤ができたこと」(同社)。新しい薬剤に適した用途を探すうちに、マンションなどのベランダにつり下げて使用するという新しい虫よけ剤にたどりついた。
 網目状の樹脂に練り込んだ薬剤が風を受けて少しずつ拡散し、虫が近づかない空間を作る。雨にさらされても効果は変わらず、一定期間虫よけ効果が持続する。洗濯物を干す時などに便利と消費者が飛びつき、大ヒット商品となった。
 「虫コナーズ」の成功により、08年にはアース製薬が「バポナ 虫よけネットW」、09年にはフマキラーが「虫よけバリア」でこの分野に参入。商品のバリエーションが豊富になり市場が活性化した。
 これまでになかった新しい虫よけ剤がすぐに受け入れられた背景には、殺虫剤で駆除する以前に、そもそも身の回りに虫を近づけたくないという都市部の消費者を中心とした意識の変化がある。殺虫剤市場がほぼ横ばいで推移する一方、こうした虫よけニーズは強まる一方だ。各社は消費者の利用シーンに合わせた新商品の開発や、既存商品の使い勝手の向上に力を入れている。
 アース製薬は昨年、網戸に直接貼って室内への虫の侵入を防ぐという新商品「虫こないアース あみ戸に貼るだけ」を発売した。つるす場所がなくても使用できて雨にも強く60日効果が持続する。大日本除虫菊も今年から同タイプの商品「虫コナーズ アミ戸に貼るタイプ 120日」の販売を開始した。
 ガーデニングやアウトドアでの利用を想定した商品は、大日本除虫菊が今年発売した「虫コナーズ スペースバリア」。庭などの地面にまくだけで、虫をよせつけない空間を作る。効果は8時間持続し、まいた薬剤は土に戻るという。
つり下げ式が上位
アース製薬 即効性に支持  大日本除虫菊 品ぞろえに強み
 スーパーで販売している害虫忌避剤の商品別ランキングは上位15位中、11商品をつり下げ式が占めた。つり下げ式の商品は「外から見えることによる宣伝効果も大きい」(フマキラー)。よその家の軒下に下がっているのを見て、「うちも使ってみようか」と考える消費者は多いようだ。
 1、3、10、11位には、アース製薬の「バポナ 虫よけネットW 120日用」「同 90日用」「同 180日用」「同 60日用」が入った。持続性のある薬剤と早く揮発する薬剤の2種類を使用しているのが特徴で、開封してすぐに実感できる即効性が人気だ。
 2、4、5位は、大日本除虫菊の「虫コナーズ プレートタイプ 100日用」「同 130日用」「同 60日用」。9位には100日用の2個パックが入った。
 同社からは7位と14位に消臭・芳香機能も兼ね備えた置き型タイプの「虫コナーズ リキッドタイプ 60日 クールミントの香り 300ML」と「同 フレッシュフルーツの香り 300ML」もランクイン。殺虫成分を使用せず、天然由来のハーブエキスで虫よけする。ほかに100日用がある。置き型タイプの商品の使用日数は60日が主流だが、同社は消費者の需要は長期間用に移行しつつあるとみて、今年から100日用についても人気のクールミントの香りを追加した。
 6位は今年発売の新商品、興和の「ウナコーワ虫よけ当番 63日用」が入った。同社が販売する虫さされ治療薬「ウナコーワ」は、発売から40年を超えるロングセラー。同社は市場に参入するにあたって、消費者になじみのあるウナコーワブランドを徹底的に活用する戦略をとっている。本体は「プチウナコーワ」のCMやパッケージで使用しているイメージキャラクターをかたどった容器を採用。既存の商品にはないかわいらしさが消費者に好評という。
 13位と15位にはフマキラー「虫よけバリア」が入った。他社製品の約1・6倍という大型でS字状の容器が特徴。つり下げるとどの方向から風がきても本体が回転し、遠心力で薬剤が効率よく拡散する。本体中央には天然ハーブの液体の入ったインジケーターを配置。時間の経過とともに液量が減少するので取り換え時期がひと目でわかる。ハーブのさわやかな香りが広がることによって、虫よけ効果を実感できるという。
 昨年から登場した網戸に直接貼って使用するタイプの商品も好調だ。8位に入ったアース製薬「虫こないアース あみ戸に貼るだけ」の4~6月の販売は、前年同月比約150%と大幅に増加した。今年発売の大日本除虫菊「虫コナーズ アミ戸に貼るタイプ 120日」は12位に入った。


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